2017年1月よく聴いた音楽
前提。
筆者が一年を振り返る際の備忘録として、できる限り月に一回その月に聴いた音楽の中で印象的だったものを一口メモ程度の説明と共に残そうと思う。
読者の方へ。
基本的には洋邦ジャンルを問わずにチェックしていますが、B-boyの端くれなのでどうしてもHIP-HOPやR&Bが多くなります。J-popは好きなものだけ、他にはReggaeをよく聴きます。RockやJAZZも聴きますが、なかなか追いつきません。HIP-HOPでもTRAPには疎いですし、クラブミュージックでもEDMはほとんど聴かないなど守備範囲には偏りがありますので、それら考慮していだだいた上で読者のプレイリストの参考になったりすれば嬉しい限りです。
※以下表記は全て (アーティスト名 / 作品タイトル(ジャンル))で記載
邦楽(全4作品)
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G.RINA / LIVE & LEARN (POP)
前作Lotta Loveも相当聴いたが、今回も盤を通してシックなディスコポップに仕上がっていて中毒性十分。歌にラップに精力的に取り組んでいることも素晴らしいがこのクオリティで、楽曲制作を全て自分自身で行っているのだから感心するほかない。J-popを”アーティストレベル”で引っ張っている数少ない才能の一人。夜の街に繰り出す際に聴きたい。客演と相性も最高。
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土岐麻子 / PINK (POP)
メーカーの説明によるとクイーン・オブ・シティポップらしい土岐麻子。Jazzボーカルや普段着のポップスのイメージが強いので、その説明は同意しかねるが今作は間違いなくシティポップと言える内容。(ちなみに個人的クイーン・オブ・シティポップは一十三十一)サウンドプロダクションが面白く、先ほど紹介したG.RINAの作品に客演として参加している土岐麻子の今作は2曲G.RINAが制作しているということで、レーベル/メーカーの枠を超えた関係が素晴らしい。とはいえAVEXから移籍しないかな。
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Suchmos / THE KIDS (POP)
今月最大のボムであり、今年の年間最大話題作候補と言えるSuchmosの2nd。1stの"THE BAY"が音楽ファンの心をがっちり掴み、以後の精力的なEP/シングル制作や意欲的なライブへの取り組みといった本人たちの努力と、ベンダーのプロモーション(街中のゲリラライブやCMソング起用)が合わさって一般人の耳に届いた。内容もとにかくスタイリッシュでバランスがいい。シーンを引っ張っていく存在になったことは間違いない。
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KID FRESINO / Slave (HIP-HOP)
ヘッズを唸らす作曲能力を持つJJJと類い稀なるヒップホップセンスを持つfebbに挟まれてFla$hBackSでは3rd manの印象が強かったKID FRESINOの4曲入り音源。今回のバンド編成による制作がとにかく本人のフローと相性が良く才能が輝いている。シティ感の強く軽やかながらヒップホップであり続けている今作は今回だけの取り組みであれば勿体無く感じるほどの出来だ。シティポップという言葉があるなら、シティヒップホップと言える。バンドというと韻シストが目指している方向に近い気もするが、こういうサウンドとフローの組み合わせはフレッシュだ。ちなみに筆者昨年の国産ヒップホップベストはC.O.S.A.との共作Somewhereなのでそちらも是非チェックを。
洋楽(全7作品)
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Matt Martians / The Drum Chord Theory (R&B)
OFWGKTAのオリジナルメンバーでありプロデューサーとして名を売ったMatt Martiansのデビュー作。The InternetのパートナーSydの今月リリース作に先だっての発表となった今作はOdd Futureでの歪なプロダクションとThe Internetでのシックでクールなプロダクション両方の特徴を持っていて面白い。制作もベットルームで行ったと本人が言うようにチルな仕上がりで、休日昼下がりなどにもってこい。Sydのデビュー作も楽しみで仕方がない。
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Gabriel Garzón-Montano / Jardín (R&B)
前作のEPが好き者の耳に届きシーンで話題になったGabriel Garzón-Montanoがいつの間にかStones Throwと契約してリリースしたデビュー作。(メイヤー・ホーソンの仲介?)浮遊感あるプロダクションとセルフコーラスなどは健在で、マクスウェルや晩年のプリンスを彷彿させる印象は本人も憧れている存在ということなので間違いではないだろう。聴いていると微熱が出ているような感覚に陥る不思議な一枚だ。
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Kehlani / Sweet Sexy Savage (R&B)
説明は前回のエントリの最後に書いているので割愛。それにしても21歳でこの完成度とは恐ろしい。
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Kodie Shane / Big Trouble Little Jupiter (HIP-HOP)
昨年末にリリースした"Zero Gravity EP"が素晴らしい出来だったアトランタ生れシカゴ育ちのフィメールMC Kodie Shaneのフリーミクステ。まだ十代という恐ろしい若さで昨年ブレイクしたLil Yachyの"Summer Song 2"収録曲でありポッセカットの"All In"にも参加している。前作ほどの出来ではないが、適度にレイドバックで歌心もある彼女のフローを堪能するには十分なクオリティ。今後の動向が気になる才能である。無料なのでチェックしない手はない。貼ってあるMVは"Zero Gravity EP"収録曲のものなのでご注意を。
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The xx / I See You (Alternative)
UKの人気オルタナバンド5年ぶり3作目のスタジオアルバムは、ぶれることなく自身の目指す方向性を突き詰めてネクストレベルへと進化させた快作と言える。そもそもDJ/プロデュース部門を担当するメンバーのJamie xxが個人のキャリアで2015年のどの雑誌の年間ベストにも食い込んでくるほどの良作"In Colour" をリリースしており、そのキャリアにおいてR&Bやハウスミュージックその他様々な音楽の影響を受けた豊かなサウンドプロダクションを確立させた。本作でも音に含蓄がありジャンルレスな世界観は見事。特に女性ボーカルRomy Madley Croftとの相性は抜群で、作品にさらなる深みを持たせている。
- Jansport J / p h a r a o h (HIP-HOP)
インストゥルメンタル作品からも一つ。数年前アメリカ西海岸を中心に一気に世界的盛り上がりをみせたビートシーン、恥ずかしながら筆者は最近はなかなかチェック出来ていないが、久々にグッとくるものに出会った。本場カリフォルニアで活動するプロデューサーJansports Jの本作はHIP-HOPの醍醐味と言えるミニマルなループの中毒性が存分に味わえる内容だ。ネタ使い、ドラムブレークの質感、グルーブ感などいろいろな角度から美学を感じる本作だが、国内のフィジカルリリースはカセットだけのようで残念だ。
- Migos / Culture (HIP-HOP)
USヒップホップシーン1月最大の話題作といえば本作になるだろう。楽曲がSNSでバズるなどいかにも現行シーンならではの話題を提供してくれるMigos。三人のキャラクターもさることながら、繰り返す印象的で中毒性があるが簡単なフレーズがトレードマークで、今作もそんな持ち味はキレキレでキャッチーさもあるので意外とHIP-HOP門外漢の方でも親しみやすい内容と言えるのではないか。2017年のHIP-HOPシーンのど真ん中を知りたいのであれば見逃せない作品だ。ビッゴンビー!!
以上全11作品。邦楽はとにかくアーバンな内容な作品に良作が多かった印象だ。